1084. 人気のある売場(8)

「人の気配」で連想するのが勝新太郎演じる座頭市物語です。松崎洋二著の「座頭市残日」から興味のある文章があったので紹介します。
「寒さがじんじんと身に凍みてきた。市はじっと身を縮めて、息をこらえていた。冷たく空気が動いていた。夜半過ぎ、その空気が揺れた。人の気配である。市は来たなと身構えた。すると、気配が消えた。一瞬であったが、市はかすかな視圧を感じた。人の視線が発するものを市は感じ取れるのである。首をわずかに振って、方向を定めようとしたが、分らない。だが、間違いなく霧の三五郎だと思った」

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