8.ビジネスルールの基本と原則

人気アーティストの“紫舟”さんをご存じでしょうか。彼女のプロフィールを検索すると書道家または書家と紹介されています。二つの違いは“道”があるかどうかですが、どちらが適切なのか調べると、古典作品の字体で書くのを書家、パフォーマンス的な字体が書道家と説明が付されています。しかし、皆さんの中には反対する人がいるかもしれませんが、私は逆だと思っています。“道”が挿入されている意味は、字体を綺麗に読みやすく書くという「一定のルール」があるから「書道」で、それに対してルールに捕らわれずに書き手の感情を自由に墨で表現できる書体が「書」ではないかと思います。この考えに基づくと柔道vs.柔、剣道vs.剣、華道vs. 華、茶道vs.茶などの違いも意外と明確になってきます。
 
スペインのバルセロナにあるピカソ美術館を訪れたときのことです。そこにはピカソが幼少期に書いた作品が展示されていました。それらの作品は写実画で、正直、大変驚きました。私は絵画に関してまったくのド素人で、ピカソはキュービズムなどの抽象画だけで、伝統的な絵は描いていないと勝手に思っていたからです。まさか写実画家としても天才だったとは無知のために知りませんでした。したがって、ピカソも「写実画=絵画道」という「道」があるならば、それを極めた後、新たな境地として「道」の無い「抽象画=絵画」に進んだのではないかと思っています。一定のルールをマスターしてから「道」のない自由な世界に入っていくのだと考えています。
この考えをビジネスの世界に適用してみました。ビジネスは不測の連続です。不測の事態を解決するためには、適切な意思決定が必要です。解決策は自由でどれが適切かは当事者の判断に基づきますが、それによって企業が持続するか破産が決まります。そのためには、「ビジネス・ルール」を修得した上で「ビジネス」を経営しなくてはなりません。そのルールが“ビジネス道”で、これに相当するのが「マーケティング思考」だと考えています。ビジネスに成功するには「マーケティング」を理解しておく所以がここにあります。
 
最近の子供達は室内で時間を過ごすことが多くなり隣近所の子供達と外で遊ぶ時間が少なくなってきたようです。昔の話ですが男の子は学校から帰ってくるとカバンを放り出し野球やサッカー遊びに興じたものでした。今から考えるとこの時間は男の子にとって貴重な時間だったはずです。そのお陰でチームワークやコミュニケーションの大切さ、そしてプレーのルールなどを体得することができたからです。そしてこの体験が社会人になって役に立ったと思います。その体験のお陰で、男性の方がビジネスの世界で優位な立場に立っていたのではないでしょうか。つまり、自然と「マーケティング思考」の重要性を幼少期に身に付けていたからです。したがって、体験できない場合には「マーケティング思考」を身に付ける必要があるのではないかと思います。
最近は女性管理職比率の問題が提起されていますが、国際労働機関(ILO)の報告書によると、女性管理職の比率でみると、日本はわずか11.1%で96位だそうです。先進国としては意外な数字ですが、事実、周りを見回しても女性管理職が少ないようです。政府は原因を労働条件や労働環境に低さに求めていますが、個人的な意見ですが「女性はビジネス・ルールを学習する機会がすくない」これが主要原因だと思っています。「マーケティング思考」を習得することを、特にキャリアウーマンを目指す方にお勧めしたいと思います。

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