20.ビジネスに必要な3つの「気」

商売には3つの「気」が大切だといわれています。「気」は多くの熟語につかわれていますが、すべての動き・活力・エネルギーなどの根源という意味があり気が病めば病気になり、気がない所が空気です。

商売に必要な気は最初は「天気の気」です。商売は天候によって左右され四季の変わり目には衣替えがあり、衣類を購入し気持ちを新たにする商習慣があります。四季が衣類の需要を喚起させ商売を盛んにします。まさしく「消費は美徳」と言われる所以です。しかし亜熱帯の地域では、いつも夏用の衣類で一年足りるわけですから、経済的には安上がりですがお金の流れが緩慢で商売としては好ましくありません。しかし、幸いなことに日本には四季があります。化粧品の販売にも四季の変わり目を利用すべきです。お肌の四季対策として相談会などがあれば、最低一年に4回はお客様と接する機会ができます。ビューティアドバイザーは上司から命じられたから動くのではなく、自ら仕事を探し出す気概をもってもらいたいものです。

2番目は「景気の気」です。商売は景気によって左右されるので景気が上向きにならないと消費が冷え込んでしまいます。景気に関しては、ビューティアドバイザーは景気対策に手を打つことはできませんが、景気の悪い時こそ笑顔を絶やさずにカウンターを明るくするようつとめましょう。雨の時には誰も気が滅入ります。ビューティアドバイザーの笑顔を見たら元気になったと言われたいですね。

最後が「人気の気」です。最初の2つは管理外ですが個人でも努力次第で可能なのが人気です。真摯な気持ちで心からのおもてなしをしてください。それによって人気の「気」が生まれ、それを求めて人は集まってきます。それは燦然と輝く灯台の光のごとくです。
 
現代はデジタル社会と呼ばれIT化が進んでいますが、どんなに進んでも私たちの社会は人間の集合体であることは永遠の事実です。どんなにIT化がすすんでも、デジタルの反意語である人間(アナログ)の重要性が過小評価されることはありません。むしろスパイラル現象によって質の高い新アナログ社会に移行することが想定できます。そして人の気で溢れる商売が盛んになってくるはずです。
 
最近、テレビで「無人カー」の製作が進んで東京オリンピックまでに実用化されるだろうと報道されています。道路交通法の問題があるが、まずタクシ―業界に導入されるようです。無人カーは画期的な技術革新で、企業にとってはドライバーのコストが不用になるので経済的メリットも大きいでしょうが、反動として見過ごせないことがあります。それは、タクシードライバーの雇用機会が無くなることで、過去、IT化によって、GS、駅員、事務職などの雇用機会が大幅に消滅し失業問題の原因の一つになっています。
以前では、社内で一番社員の多い部署は経理部でしたが、現在では数えるほどの人数に減少してしまいました。IT化は私たちの生活レベルに多大な貢献をしているようですが、反面、私たちから就業の機会を奪いつつあることも歴然とした事実です。それを考え無くしてIT化に諸手を挙げて賛成しては困りものです。つまりIT化と雇用機会は「トレードオフの関係(一方を得ようとすると一方を失う関係)」にあります。

IT化によって失われた職業は種々ありますが、接客業は影響を被ることはないでしょう。接客は人間だけしかできない仕事だからです。しかし、接客が単なる「モノを販売する仕事」ではなく、親身なおもてなしができるならば絶対に残るはずです。
接客業は誰でもできる一般職だと言う人がいますが、とんでもないことで特別のスキルを必要とする立派な専門職です。問われるのは質の高さ、サービス内容であり、そして顧客との接点の心地よさです。ハード面はITに任すとして、人間はソフト面でのレベルアップで対抗することができるはずです。
 
世の中の事象を見る際にはトレードオフの関係を常に頭にいれておいてください。例をあげてみましょう。デフレの時代は「ダイソー」の出現で家計は大助かりです。100円でいろいろな商品が購入できるのでインフレの時代になっても人気は持続することでしょう。もちろん、ダイソーがコスト高に耐えうるならばですが、この100円ショップが出現したのもIT化によって生産・流通・販売が一括してローコストで管理できるようになりました。しかし、「ダイソー」も例外ではなく、トレードオフの関係にあるマイナス面を見過ごしてはいけません。100円ショップが盛んになればなるほど、製造関係の仕事が人件費の安い海外に流出し、その結果、私たちの失業問題の原因のひとつになっています。何事も長所、短所を併せて見なければなりません。

0コメント

  • 1000 / 1000