24.新たな21世紀には新たな神話が

1990年代は日本経済がバブル経済の終焉により不況が始まった年でした。シャボン玉の泡のように実態のない空気で膨らみ、それもドンドン膨らんで、ついに臨界点に達し、それが割れ飛び散ってしまいました。当時の日本の社会には絶対的事実として誰も疑うことのない既成事実がいくつかありました。

一つ目が土地神話でありこの異常なまでの経済の膨らみは土地神話の上に成り立っていました。土地は日本では有限の財産で永遠に価値が下がることはないと信じられていました。その結果、誰もが土地の投機に走りました。土地は絶対的な事実として受け止められていましたが、その神話も崩れることになりました。

二つ目がサラリーマン神話です。サラリーマンは安全で安定した職業と見なされていました。昔、植木等の「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ」の歌がはやりましたが、一流会社に勤めると終身雇用制によって定年退職まで勤め、更に年々給料が増える年功序列制によってサラリーマンは守られていました。中途入社が好まれず、新卒を採用し定年まで勤め上げる純潔主義が守られていたので、一流企業に就職することが理想で、それには一流大学を卒業しなければなりませんでした。いわゆる学歴社会です。子供の進学に夢中な“教育ママゴン”が随分と話題となりました。

さて、世紀が改まり21世紀になり、これらの絶対的事実はどうなるのでしょうか。当然のことながらまだ遺物としては部分的に残っていますが、徐々に20世紀の神話的存在は薄れています。
21世紀の神話はなんでしょうか。20世紀の神話は土地と学歴という中身を伴わない資格でしたが、21世紀は人間性と知識の時代になります。高尚な人間性、実業に役に立つ知識と経験が絶対的事実となります。

200年前に福沢諭吉が書き下ろした名著「学問のすすめ」の中で述べている「独立自尊」の精神がまさに現実化してきたといえましょう。

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