25.福沢諭吉の「学問のすすめ」から、独立の精神とは

「学問のすすめ」岬龍一郎訳・解説 PHP出版から要点を転載させていただきました。

この著書を初めて読んだのは40才も半ばのときです。それまではあまりにも有名な本なので読む気持ちが湧かなかったのですが、人間は最期まで何かを学び続けなくてはいけないと痛切にあるとき感じたからです。
その時に思い出したのが「学問のすすめ」で、いろいろの現代語訳が出版されていますが、岬氏の訳本が読みやすいと思いました。

それからというものは「独立自尊」の精神で毎日を見直すようになりました。

独立の精神とは何か、福沢は言います。自分で自分の心を支配し、他に頼りすがる心がないことだと。
すなわち、他人の考えに影響されず、自分で物事の善悪を見極め、自分の行動に間違いを起こさぬ者を独立の人といいます。
独立の精神がない者は、必ず他人を当てにし、他人を当てにする者は、必ず他人を恐れます。他人を恐れる者は必ず他人に媚びへつらう者となります。
いつも他人を恐れ、媚びへつらう者は、いつしかこれが習慣となって、その面の皮が厚くなり、恥しらずの人間となります。
そうなると、いわなければならないことも言えず、人に会うとただ腰を曲げて卑屈な人間となるのです。習い性となる習慣はやがて第二の性格になるとはこのことです。
いったん習慣となってしまうと、それを改めるのは簡単ではありません。
 
改めて、高尚なる心に匹敵する表現を福沢の書物から探し出すと、やはりそれは独立心ということになるでしょう。福沢は独立とはどういうことかを聞かれたとき、
「他人の厄介にならぬことなり」
「人からものをもらわぬという義なり」
と答えていますが、まことに簡潔明瞭、見事な答えといってよいでしょう。

0コメント

  • 1000 / 1000