41.人間(にんげん)万事(ばんじ)塞翁が馬(さいおうがうま)

この中国の諺は「人生というのは何がいいことか、悪いことなのか最後までわからない。幸福や不幸は予想ができない」という意味です。
この諺の語源は次の通りです。
ある城塞のほとりに、老人と息子が暮らしていました。ある日、飼っていた馬が突然逃げ出してしまったため、周囲の人々は馬を失った親子を気の毒がったが、当の老人は「不幸かどうかは果たして分からんよ。もしかしたらいいことがあるかもしれない」と、平然としていた。間も無く、逃げ出した馬が立派な名馬を連れて戻ってきました。これは不幸が転じて幸運となったのです。周囲の人々は親子の幸福をたたえたが、老人はやはり平然として逆にこう言いました。「もしかしたらこれが災いのもとになるかもしれない。」間も無く、息子がこの馬から落ち脚が不自由となってしまったため周囲は同情しました。しかし老人はそれを見て「これが幸福を呼ぶことになるんだ」といい、一向に動じませんでした。その直後、戦争がおきて、町の若者がほとんど戦死したが、足を折っていた老人の息子は、そのおかげで命拾いしたのです。

私も「人間万事塞翁が馬」を経験しました。入社して2年目のことです。突然、上司の事業部長が会社を辞めることになり、私が事業部長代行を命じられたのです。大役なので困難が予想されましたが、やりがいのある仕事だと考え、お受けしました。自分にとっても大きなチャンス到来だと、入社時には想像していませんでしたが辞令を受けました。
これからいよいよ再生できるとばかりに勇(いさ)み立ちましたが、まもなく新たな事実が判明することになりました。辞める事業部長が新たに日本市場に進出するフランス化粧品メーカーの社長になるために、辞表を提出したことがわかりました。最悪なことに、その際、オフィスからは主要なスタッフを数人、そして特に関西地区の大型店のチーフ・ビューティアドバイザーを20数人引き抜いていったのです。水商売の世界では、このようなことは日常茶飯事だと知っていましたが、まさか、自分の周りで起きるとは想像をはるかに超えていました。営業は売上を作る大切な部署です。新たにチーフを育てるには費用となによりも時間がかかります。しかし、悩んでいてもなにも生じません。気を取り直して「人間万事塞翁が馬」だと思い考えを変えることにしました。つまり「災い転じて福と成す」ことができなければマネージャーとしては生き残れないと覚悟を決めたのです。ベテランのチーフが辞めたことは、残されたビューティアドバイザーにとっては昇進の機会が到来したということです。この災いを「やる気」を起こすバネにしようと考えました。

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