53.会社の組織はピラミッド型

社会には就業のオプションが無限にありますが、芸術家や設計家などの一部の専門職を除いて、多くの職業に共通しているのが、必ず人間関係の煩わしさを意識しなければならないことです。当然のことですが、相手は自分とは別個の人格で価値観もそれぞれがことなります。相手をこちらの意思通りに動かそうと思っても容易なことではありません。そこに人間関係の複雑な問題が生じストレスの原因となります。さらに難かしくすることは、相手の人数が2人、3人と増えるにしたがって人間関係も比例し複雑化してゆくことです。
ビジネスの3要素は、「ヒト、モノ、カネ」と言われますが、最も重要で難しい要素はヒトの問題です。ヒトの問題はイコール人間関係です。ビジネスが成功するも失敗するのも、全てが人間関係の有り様次第で決まると言ってもいいでしょう。これはどの業界でも言えることですが、企業が破綻する原因はすべて人間関係で、それが問題として顕在化したときに一挙に組織が瓦解します。
人間関係を円滑に進めるために登場したのが、経営学の「組織化」で、多くの社員を効率良く企業の目標に向かって邁進させる仕組みづくりといえます。形体としては文鎮型とピラミッド型の2つがあり、前者の文鎮型は書道などで使用するまさしく文鎮のような形状をしている組織で、トップの人間が文鎮の把手の部分で部下全員を直接管理する形体です。それに対して、ピラミッド型は多くの企業の組織形体ですが、いずれにしても各構成員の果たす役割が明示されています。どちらに組織化するかは、管理職の管理能力によりますが、一人の管理職が掌握できる部下の人数「スパン・オブ・コントロール」次第です。聖徳太子は大層聡明な方だったので一度に10人の部下の話を聞けたそうですが、凡人はそうはいきません。優秀な管理職でも5人を越えることはないでしょう。
エスティローダーの組織化には3人を設定してビューティアドバイザーのカウンター別の配分数を売上予算から逆算して決めました。例えば、カウンターの年間の売上予算を3億円、ビューティアドバイザーひとり当たりの平均月間売上高を2,300千円に設定すると、13人のビューティアドバイザーが必要になります。(300,000千円÷2,300千円=13人)この組織だとチーフが3人のサブチーフ、サブチーフが3人のビューティアドバイザーを管理することによって総数が13人になり、これを割り当てのベンチマークにしました。

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