297.予算会議
毎年秋になると本社で翌年の予算会議が開催されます。ブランドマネージャが世界各国から招聘され、約1時間の会議に臨みます。この会議は、事業部長にとって年一回必ず訪れる頭の痛い試練の場でした。会議のために前から資料作りやプレゼンの準備が始まります。しかしながら、ニューヨーク行きの飛行機に搭乗した時から、早く戻ってきたいとそればかりを考えていました。
さて、市場状況から考えても前年比プラスは不可能であるにも関わらず、若干のプラス成長を考えて予算案を作成しました。数字の裏付けも一応準備して本社の社長の前でプレゼンすると、「予算が低すぎる。たとえ、他社がマイナス予算を作成しても、我が社はプラスにできるはずである。なぜならば、貴方という優秀な人間がブランドを管理しているのだから、プラスは簡単なはずである。貴方ならばできるはずです」そう言われると反駁はできません。言われるままに予算が下されてしまいます。本来は相互にキャッチボールがなされて同意すべきことでしょうが、引き下がるしかありません。誰も将来のことは予測できないので、ある意味、言いたい放題に決まってしまいます。予算会議はそんなものでしょう。
0コメント