1630.事例 8:紳士服テーラー

お得意さんが、急の海外出張でスーツが必要になり来店なさりました。翌々日の出

張で出発前にスーツができあがるか心配顔でしたが、テーラーは「どうぞご安心くだ

さい、すべてそろえておきますので明日またおいでください」と答えました。お得意

さんのサイズはすべてコンピューターで管理されていたので好みのサイズとスタイル

はつかんでいました。翌朝、お客さまが店にくると試着できる状態になっていたので

さっそく待機していた仕立て職人は寸法直しにとりかかり数時間で仕上げ、お客さま

の家に直接配送し翌日にひかえた出張に間に合いました。これでお客さまは十分喜ぶ

はずだが、ハイライトはこの続きがあるのです。

テーラーは顧客ファイルからそのお客さまの誕生日がちょうど出張中だとわかって

いました。その方は、実はスイスへの出張で顧客サービスのセミナーの講師を務めて

いました。その日は、顧客サービスとしていろいろな業種を例にあげて講義していま

した。その際、このテーラーの特別サービスのことを講義の内容に具体例として紹介

しました。数時間で仕上げてくれた話をエピソードの一つとして紹介していたのです

が、そのテーラーのラベルを聴衆に見せるために、新しい背広の内側を広げた瞬間、

胸ポケットに一通の封筒が入っているのに気づきました。封筒から出てきたのは、テ

ーラーの直筆のメッセージに添えた誕生日のカード。大きな拍手がわきあがりセミナ

ーも大成功であったそうです。(94%の顧客が大満足と言ってくれる私の究極のサ

ービス、 ジャック・ミッチェル著 小川敏子訳 日本経済新聞社 2004)

0コメント

  • 1000 / 1000