1678.化粧品市場とアベノミックス

『女性の財布のひもの緩み具合を最も示す一つが化粧品。アベノミクスが始動して一年で化粧品市場はどう変わったのか。中国など新興国の市場はどうなっていくのか。資生堂の前田新造会長兼社長に聞いた(日経MJ 2014.0127)』

2014年4月、新たに前田現社長に変わり外部の魚谷雅彦氏が社長に就任する発表があった。すでに交代に伴う戦略の見直しが内部では進行していると思われるが、今回のインタビューの中で前田現社長の言葉にひと言コメントしたい。

 化粧品は確かに経済不況に大変強い市場と言えるが、それも女性心理のお蔭である。家計の鍵を握るのは女性、女性は不景気になり節約を迫られると、まず、財布のひもを締めるのはまず男性用製品。ほとんど男性用の購入者は圧倒的に主婦であって、これは世の男性は自分の使用する製品に対してこだわりもなく奥さん依存が多いからだ。次に節約の対象になるのが食料品、住居費等々が続き、それでも節約せざるを得なくなると、最後に手をつけるのが女性用化粧品である。良い意味でも悪い意味でもこれは事実である。したがって、化粧品市場が金額・数量共にダウンした場合には本当に深刻な不況が生じていると言える。その意味では前田社長のコメントは間違いがない。しかしながら、 同社長がインタビューの最後にコメントしている点が引っかかる。「中国は豊かになり、価値観が多様化した。かってのように全域を攻めるのではなく、安定的に需要を見込める地域に絞って売り込んでいる」

資生堂は日本国では一般化粧品店を中心とする全国展開を基本戦略として、それが資生堂の成功要因であったが、一方で、この基本戦略に固執してきたことが現在の資生堂の低迷の主要因になっているのだ。そして、資生堂は中国でも同じ戦略、つまり全方位戦略をとり中国の隅々まで浸透させるべく努力をしてきた。しかし、それが今回頓挫してしまったと考えている。今回の前田社長のコメントはこの事実を反映しているとおもうのだが。魚谷新社長の新しい経営方針・戦略に期待したい。興味を持って見守っていきたい。想像するにまずは社員の意識改革が重要だと思う。

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