1683.入店拒否の壁(1)

日経MJ 2014.0131

自分の店は、お客様が入りやすいだろうか、「壁」はないだろうか。壁とは心理的な抵抗となるが、お客様自身がそれを壊して入ってくることはまれだ。壁を意図的に店主が造っているわけではないが、なんとなしに「壁」なるものを作ってしまっていることが多い。

店内のPOPの良し悪しも大切だが、まずは、店内にお客様が入ってこなければ店内のPOPの働く場もない。したがって、店外に立って、お客様の視線で店内の入り口を観察してみよう。なにげなく設置した真っ赤な消火器が気持ちを滅入らせ入店する気持ちを失せてはないか。入口をふさぐように置いたゴンドラが入店する意欲を減退させてないか、真剣に考えてほしい。

経験から一例を述べてみたい。山形にある百貨店大沼本店の出店時のことである。山形市は人口25万人で十分百貨店の存在が可能な都市で松坂屋と地元の百貨店大沼の2店が競合していた。しかし、2000年に松坂屋が閉店を決め山形市から撤退することになった。エスティローダーも松坂屋に出店していたので閉鎖することにしたのだが、問題は当社からの派遣社員の処遇であった。閉鎖が理由なので退職してもらうことは可能だが、一方的に話すのは絶対にしたくない。オプションを提示して、それが受け入れられないので「辞職する」と相手から意思表示をして欲しいと思っていました。

提示したオプションはバス通勤で片道1時間半かかる仙台の百貨店への異動でした。大沼百貨店に出店するのは検討外として仙台に売上を集中することにしたのです。最終的に彼女は提示を受けて仙台への通勤が始まりました。

0コメント

  • 1000 / 1000