1684.入店拒否の壁(2)

問題の大沼百貨店は当時、経営が行き詰まり低迷していましたが、2004年、再建策が始まり1Fの化粧品コーナーの見直しの結果、エスティローダーの出店依頼がありました。化粧品の充実は百貨店の優先課題で一流ブランドが揃っていませんでした。無下にお断りをするのは申し訳ないので訪店してからお断りをしようと思い、訪店すると正面玄関から入館すると左側が化粧品コーナー。コーナーはほどほどのスペースだが、シャネル化粧品だけが好立地に広いスペースを確保していました。提示された条件は「どこでも自由に好きなだけスペースを差し上げる」でしたが、こちら側は出店計画はなかったので困りました。こちらから受け入れがたい提案をして大沼が断るのならば出店拒絶の理由になると考え3つ条件を提案しました。

(1) 正面玄関からの主導線が、ある化粧品ブランドが突出しているために直線になく見通しが良くない。入館するお客様の立場からすると心理的にスッキリしないので、そのブランドを引っ込めること。

(2) 正面玄関から入館すると突き当りの天井に「非常口」と「トイレ」の表示が目に入りエキサイティングではないので取り外すこと。

(3) 国産の有名化粧品の場所を提示した。しかし、全てのコストは百貨店持ちとすること。

拒絶されることを想定したが意に反してすべて受け入れることと連絡があり、それではと出店することになった。当方としては仙台まで通勤している社員を山形に戻すことができたのが何よりも幸いであった。また、提示した条件の最初の二つが「入店の壁」になっていると判断したことがよかったのではないかと思う。当方の提案を「変化の機会」としてとらえた百貨店のトップの判断が正しかったのだ。

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