49.自己投資

新入社員として採用されると、人事部が窓口となり新人教育プログラムを実施し赴任先を振り分けます。一定期間、通常は入社後3年になると、新入社員の評価がくだされ、特に優秀な社員が選ばれエリート・コースに乗ります。エリート社員は人事異動を定期的に繰り返しジェネリストとして育成されていきます。しかし、この育成プログラムは時間とコストがかかるプレッシャーから、今までのように実践することができなくなり、ジェネリストは必要に応じて社外からハンティングされるようになりました。
この話はあくまでも一般論ですが、人材育成を重視する優良企業があることを否定しません。
このような労使関係の変化によって、キャリアアップを望む社員にとっては、日本企業を教育の場としてとらえることが難しくなってきました。多くの社員にとっては、希望する職務への社内異動の道も閉ざされ、最初に配属された部署の職務が生涯キャリアとならざるをえません。したがって、キャリアアップを希望する社員にとっては、転職しかその機会がなくなりました。しかしながら、ここにも問題があります。転職するにしても受け入れる企業は専門職としての人材を要望していることです。専門職からジェネリストに転向する可能性がありません。残る道は、大学院や専門学校で資格をとり、新たに仕切り直しをすることです。最近では、仕事をしながら学位をとれるビジネススクールや各種セミナーが増えています。将来のことを考えれば、まさしく自身の能力的・人格的な成長のために資金を投じる、いわゆる「自己投資」の機会が到来したといえます。

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