133.マーケティング・リテラシィ

こんな表現が英語にあります。「read between the lines」日本語では「行間を読む」です。活字で表された文章を鵜呑みするのではなく、文字では表されていない事実や背景を感じとるという意味です。「マーケティング・リテラシィ」に精通していれば、隠されている真実を掴み取ることができるはずです。

2014年のことですが、日経新聞を読んでいたら、サントリーが米国のビーム社を160億ドル(約1兆8000億円)で買収したと報じていました。この記事についても「マーケティング・リテラシィ」に精通していれば、紙面に報道されていることとは異なる判断ができるはずです。

「サントリーホールディングス(HD)がキリンホールディングスを抜いて国内食品メーカーの首位に立った。ビーム(現ビームサントリー)の買収などで海外売上高を7割伸ばし、キリンに2600億円の差をつけた。営業利益も30%増で1647億円のサントリーに対し、キリンは20%減の1145億円」

この記事を額面通りに受け入れれば、「サントリーはさすが、キリンを抜いて国内で一番になった」。米国のビーム社を買収したことは大成功と評価するかもしれませんが、ビーム社などの買収のために投資した約1兆6千億円の借金の返済にあてる利子は営業外費用に仕訳されることを知っていれば、あながち諸手をあげて喜べることではないはずです。経常利益が報道されていれば違ったコメントになるかもしれません。私個人としては、今回のビーム社の買収はすべきではないと思っています。これからは「大きいほど良い時代は終焉を迎え、小さいほど良い時代」です。M&A(企業買収)の目的は売上アップ以外にも種々の目的があるでしょうが、単純に売上アップだけを目的とした企業買収は成功しません。



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