231.小さな心くばりを体験(2)
3カ月経ち、夏休みが始まりました。殆どの学生は50度以上の猛暑のアリゾナから出て行ってしまいます。私は知り合いもありませんのでキャンパスにいて勉強をしようと思っていましたが、ルームメイトのトッドから実家に帰るので一緒に行かないかと誘われました。考えた末、誘いを断る理由もなく、また良い経験になると思い同行することにしました。延々と丸一日かけてオクラホマ州のタルサという小さな町に着き、家をノックすると彼のお母さんがドアをあけてくれました。「あなたのことは息子から聞いています。ようこそ、タルサ・オクラホマへ」とおっしゃって、二階の部屋に案内してくれました。「この部屋を自分の部屋と思って遠慮なく使ってください。そして、ここが貴方のバスルームでタオルも使ってくださいね」と声をかけてくれました。その時です、私は気持ちの底から感激したことを忘れません。本当に私は歓迎されているのだろうか、アジア人に対して偏見があるのではないかと不安と心配で一杯でしたが、そんな懸念は吹っ飛んでしまいました。用意されていたタオルに名刺サイズの紙がピンで留めてあり、そこには私のニックネームの「NOBO」が手書きで書かれていました。これを見て「私は歓迎されているのだ」と確信したのです。この感激が「小さな心くばり」の原点になりました。
「名前をカードに書きピンで留める」この行為にコストはかかりません. 本当に小さな心くばりですが、その中に、相手を思いやる気持ちが表れていました。これは忘れることのできない経験で、その後のマーケティングの定義である「相手の立場に立って考え、そして行動する」の原点にもなりました。
0コメント