258.実定法(じっていほう)主義(しゅぎ)
法律で定められたことだけを是非の判断基準にする考え方を「実定法主義」と呼びます。犯罪行為は困りますが、ビジネスでは実定法主義を基本にしながらも、その場では「何が一番大切か」をもって判断基準にすべきだと思います。
ある塾の講師をしていた時の話です。塾には講師用の就業規則があり、それによると「業務上知り得た生徒、保護者、同僚、社員の個人情報を収集し、またはその写しを作成したり、教室の外に持ち出したりしてはいけません」とあります。この規則によると、個人的に生徒の個人情報は塾外では使用できません。同時に、講師の個人情報も同様に扱われます。個人情報とは個人を特定できる情報に関してです。名前、生年月日、住所、電話番号、成績情報、メールアドレス、写真やビデオなどの画像、ビデオや電話などの声などが含まれます。
約8か月間の講師経験でしたが、辞するにあたり生徒にお別れの挨拶をしました。ある生徒が突然の辞任に驚き、講師の先生に手紙を書きたいと事務所に私の住所を尋ねてきました。オフィスにいたスタッフの返事は「規則で先生の住所は教えられないから、だめ」と杓子定規の返事でした。すると、「どうしてですか?」とくいさがったので、再び「規則だからダメなの」だったので、生徒は泣きそうな顔をして帰っていきました。この生徒は気持ちの底から講師に感謝の気持ちを手紙に書いてお礼を言いたかったのでしょう。しかし、この素直な気持ちもオフィススタッフの断定的な言い方で傷ついてしまいました。
この場合、スタッフの行為の是非はどうでしょうか。「お客様」の替わりに「生徒」と置き換え生徒の立場に立って考えてみてください。生徒が希望校に入学できることが生徒の最大の喜びです。この喜びを与えるために学習塾は万全を期して生徒をやる気を起こさせることです。「規則で講師の先生に直接手紙は送付できないので、オフィスで預かって必ず講師の先生に渡してあげます」このような言い方をすれば、その生徒は傷つかずに気持ちよくその場を終えることができたはずです。
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