378.百貨店との交渉
宮里大丸副社長(当時は専務)との交渉が「ビギナーズキット」成功のきっかけとなったが、この経験は交渉力を研磨する機会でもありました。管理職の評価は交渉力を有するかどうかで、問題に直面した時、一人で瞑想にふけっても解決できません。必ずと言っていいほど、相手との交渉という難問題が付きまといます。対外的な交渉相手は、化粧品ビジネスの場合は百貨店と出版会社です。
通常、百貨店の売り場は、だいたい5年ごとに改装され、改装に際しては、全てのブランドが対象となり、ブランド別に場所とスペースの見直しが行われます。当然、売れているブランドには前面の良い場所が提供され、売上実績に応じたスペースが振り当てられます。改装計画が発表されると、トップレベルによる事前交渉が少なくとも3回必要になります。
一年間に約20店舗の改装計画があるので、年間に60回の交渉が必要になります。つまり毎週一回は、百貨店との交渉に時間がさかれます。売り場は一度改装されると5年間は動きません。つまり交渉に失敗すると5年間はリカバリーできなく辛抱するしかありません。百貨店に対する交渉力の有無がコスメ・ビジネスの成否を決めると言っても過言ではありません。
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