407.三越商法
歴史的に定価販売が行われたのは古く江戸時代初期にまで遡ります。340年前の1673年、百貨店三越の前身である越後屋の創業者の三井高利が定価販売を始めました。当時の呉服市場は老舗の大店が軒を連ね新参者の越後屋が入る余地はなかったが、マーケティング戦略で言えば、三井高利は販売方法の差別化を考えました。その代表的な戦略が店頭売り、現金掛値なし、そして定価販売による商法でした。それまでは注文生産で出来上がり次第得意先に呉服を持ち込む方法でしたが、高利はすべて店頭売りに変え、掛売りを止め、すべてを正札通りの定価販売にしました。販売方法に関しても、以前は反物単位だったのが切り売りを可能にしました。これらの一連の変更は、商慣習を無視した商取引でしたが、庶民からは圧倒的な支持をうけ、わずか二十年で富士山に並ぶほど有名な日本一の大店になりました。「越後屋の商法は正直だ」と評判になりますます越後屋は大きく成長してゆきました。
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