408.昔の苦い経験話(1)
今から45年以上も前、現在のライオン(株)がライオン歯磨(株)と呼ばれた時代の話です。私はスタッフから営業に異動になりライオンの黄色い営業車を運転し担当エリアの杉並、三多摩地区の薬局を訪店していました。ライオンは問屋流通政策をとっていたので、営業の仕事は情報収集のための訪店めぐりで、必要に応じて注文を取り問屋に連絡する、いわゆるフィールドサービス活動をしていました。
一日の訪店数15店を目標に担当店は250店を管理し、担当製品はLB製品で、LB製品とは米国のブリストル・マイヤーズ社との合弁会社の製品でライオンが製造・販売をしていた男性整髪料のバイタリス、スコア、そして制汗剤のバンなどでした。主力製品の歯磨は担当外でしたが、要請のある時には応援に駆り出されていました。その緊急要請があった時の話です。歯磨の小売価格を値上げすることになり、その処理を急遽しなくてはならなくなりました。店頭の在庫品に新価格をオーバーラベルし、一斉に値上げを徹底することになりました。店頭の在庫を補償するために、新価格のラベルを店主に手渡す訪店でしたが、小売店にとっては旧製品を新価格で販売できるので悪い話ではないので作業は問題がないと思っていました。しかし、トラブルが訪店2軒目で発生しました。井の頭線の浜田山駅にある薬局だったと思います。威勢よく店に「ライオンです、いつもお世話になりありがとうございます」と言うと、店頭に奥さんが出てきました。値上げの説明をし、必要ラベル枚数を差し上げて退店しようとした、その時、奥から旦那さんが出てきました。奥で話を聞いていたのでしょう。グッと睨まれ、突然胸ぐらをつかまれ顔面を殴られました。「天下のライオンたるものがこんな値上げをすべきではない。歯磨の箱を刷り直し新価格表示で販売すべきである。オーバーラベルなんて姑息な手段をとるな」と怒りの声でした。殴られる方も情けないことですが、すぐに奥さんが入って先生を止めていただき、深く陳謝し早々に退散しました。
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