998.行列は社会的証明(18)

湯布院町長は練習通り陛下に説明しました。「あの山は何々山でございます。あれは何々岳でございます」 説明が終わり、おじぎをして、ホッと安心して頭をあげようとした時、陛下が、「そして、あの向こうに見える山は何の山」とお尋ねになりました。この日は、特別いいお天気で、普段は見えない遠くの山まで見えたのです。陛下が尋ねられた山は、町長が練習していた時には見えなかった山で、町長は先ほど説明した山以外は知らないのですから大変です。どうしていいか分からず、お辞儀をしたままの町長に、入江侍従長が、「お答えを!お答えを!」と催促するので、町長、頭を下げていて分からないんですけど、頭をあげながら一言、「ただの山でございます」 町長は自分ながら、「なんて馬鹿なことを言っているんだろう」と、緊張の中で笑いを噛み殺していると、すると陛下も笑いをこらえて震えていらっしゃったというお話です。その後、宮内庁からは、町長のもとに、菊のマークのついたお酒やお菓子が届けられました。

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